いちいち、こだわるのは、
お客様の喜びのために。

株式会社 BATON

谷野 恵子さん

株式会社BATON創業メンバー。学生時代からグラフィックデザインをライフワークとし、店舗からパン、グッズまでBATONのデザインすべてを担当している。好きなヴィンテージやレトロなものはもちろん、日頃から幅広くアンテナを張りながら、ものづくりのアイデアを探している。

お土産缶として人気を集めている「コバト缶」。
レトロなデザインと、かわいいイラストがインスタなどのSNSで話題となっている。オンラインショップでは入荷後数分で売り切れになる状況が続いている。

Section 1

ある街に、とっても美味しいコッペパンをつくっているパン工場がある。そこで働く工場長と3人の弟子達の願いは、みんなにもっと美味しいものを食べて貰いたいこと。そのために手間も暇も惜しまないし、研究にも余念がない。ときには工場長がフランスへ修行に出かけたり、ときには3人の弟子達が力を合わせて新しい商品づくりに挑んだり…。

そんな物語とともに、かわいいお菓子缶「コバト缶」が生まれた。どこかレトロで、大きなコッペパンを掲げる3人の弟子達のイラストが愛らしい。そのデザインに心を掴まれるファンが増え、インスタでも話題になっている。「私たちのこだわりを、きちんと見てくださる方がいて嬉しい」と話すのは、株式会社BATONのデザイナー谷野さん。「コバト缶」は、同社が運営するコッペパン専門店「コバトパン工場」の世界観をカタチにしたものだ。

「コバト缶」を開けると、工場長と3人の弟子達からのお手紙が添えられている。心温まるメッセージを読むのも楽しい。焼き菓子は、フランスの伝統菓子をベースに、コーヒーや紅茶、ワインなどに合うように独特のスパイスを加え、食感にもこだわっている。「いちいち凝っているんです。それが、私たちがもっとも大切にしていることだから」。

Section 2

株式会社BATONは2010年、雑貨店からはじまった。出店場所に選んだのは大阪市北区の天満橋。当時そのエリアは店舗がほとんどなく、人がまばらだったが、水辺に近く緑の多いロケーションを気に入った。想像していたことだが客足は少なく、創業時は不安と苦労が絶えなかった。雨の日はひとりもお客が来ないこともあったという。「それでも、そんな場所にわざわざ足を運んで来てくださるお客様がいるのだから、一切妥協せず細かなことにもこだわったおもてなしをしたい」と、谷野さんは心に誓った。 それがBATONの哲学といえる『いちいち』になる。いちいち可愛い。いちいち凝ってる。もちろん、天満橋というエリアにもこだわった。繁華街に進出することもできたが、天満橋での新規出店を続け、カフェ、ベーカリーショップ、チキンオーバーライス店などをオープンさせた。いずれも店づくりから心地の良いサービス、美味しいお料理まで、すべてがこだわり抜かれている。
「多様な店舗が増えると、楽しみも増えて、そのエリアに行きたくなるはず。そんな狙いとともに、立地ではなく商品やこだわりで選ばれるようなお店にしたいと思いました」。

すると徐々に、街に変化が起こった。遠方から天満橋に遊びに来る人が現れ、天満橋に店舗を構える人も増えていった。BATONの『いちいち』が、街に魅力をつくり、ファンを生み出していったのだ。BATONの店舗が立ち並ぶストリートは、「BATON通り」と呼ばれるようになり、今や天満橋は人気エリアとして取り上げられることも多い。

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しかし、BATONが少しずつ築いてきた天満橋のにぎわいは、コロナ禍によって突如、なくなってしまう。飲食業の売上は大幅減となり、窮地に立たされた。そんな危機から救ってくれたのが、工場長と3人の弟子達の「コバト缶」だった。その唯一無二の世界観に惹かれるファンが増え、ネット通販を中心に入荷が追いつかないほどの売れ行きに。「コバト缶」から広がったグッズやギフト商品の販売が好調になり、飲食業の売上減を補った。

事業の中心が飲食業に移っても、谷野さんが創業時から大切に持ち続けているものがある。それが「ものづくりへの愛」だ。自分の「好き」や「興味」を出発点にしながら、『いちいち』という哲学のもと、店舗内装やパッケージ、オリジナルグッズ、キャラクターなど、唯一無二の世界をつくり上げていった。だからお菓子缶をつくることも自然な流れだったという。 「コバト缶は、もともとヴィンテージ缶が好きだったので『つくってみたい』というシンプルな気持ちがはじまりです。そこから実際にお客様が手に持って開けてくださったときにどんな表情をしてくださるだろうかと想像しながら、カタチにしていきました」。

BATONには、通常の飲食店にはない世界がある。それを生み出しているのが創業時から培ったデザイン企画力であり、その根底にある「好きなものをつくりたい」「誰かに喜んでもらえるものをつくりたい」という想いだ。その想いから誕生した「コバト缶」が多くの人を惹きつけ、コロナ禍の危機から脱する道を拓いてくれた。

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「コバト缶は、私たちが思い描いていなかった未来をつくってくれています」と谷野さん。たとえば、「コバト缶」をお弁当箱として利用するファンが現れ、インスタを中心にバズっているという。「まさか、そこから人気の火がつくと思っていなかったです」。

また、さまざまな業種・企業からコラボ企画のオファーがあとを絶たない。自動車メーカーのルノーとのコラボもそのひとつ。ルノーに来店されたお客様への贈呈品として「コバト缶」が採用され、ルノーオリジナルのデザインやお手紙を仕上げた。さらに、白ハト食品工業株式会社「おいもさんのお店らぽっぽ」とのコラボ商品や、人気バンド「フジファブリック」のツアーグッズとのコラボなど、工場長と3人の弟子達は幅広いところで活躍している。

クリスマスには3人の弟子達が可愛いサンタに変身するなど、特別な季節だけの「コバト缶」も販売され、即完売するほどの人気になっている。

今後の新たな取り組みとして、工場長と3人の弟子達が描かれたギフトカードを、お客様がWEB上で自由にカスタマイズできるサービスも計画中だ。一方で、需要に対して生産が追いついていない状態が続いているため、生産体制の強化や効率化もめざしている。

「コロナ以前には百貨店や駅・空港などへの催事出店も行っていました。今後の状況を見ながら、再びそうした出店にも力を入れ、大阪万博なども見据えて新たな大阪土産としての地位を得たと思っています。また、中国・台湾・韓国でもコバト缶のファンが増えてきているので、海外の方も気軽に私たちの商品を手に取っていただけるように海外展開も検討しています。いま、生活のスタイルが大きく変わろうとしています。そんな中でも喜んでいただけるものを、『いちいち』こだわってお届けしたいです」と谷野さん。工場長と3人の弟子達の願い「みんなにもっと美味しいものを食べてほしい、もっと喜んでもらえるものをつくりたい」は、谷野さんの願いでもある。

株式会社 BATON(バトン)

〒530-0043 大阪府大阪市北区天満3-12-8 荒吉ビル
TEL:06-6360-9755

URL:http://baton-group.com/
オンラインショップ : https://batongroup.shop-pro.jp/
缶カン

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