縁取るのは、
モノに込められた想い。

有限会社 ギャラリーゴロー

代表取締役 溝口 文男さん

オーダーメイド額縁店「ギャラリーゴロー」のオーナー。趣味は美術鑑賞。関西額縁業界のトップランナー企業の経営者だが、若かりし頃はコーヒーショップでコーヒーと向き合っていたという素敵な一面も。来店したお客様に美味しいコーヒーをふるまう、気さくな人柄が魅力的な方だ。

ギャラリーの壁一面に飾られた額縁見本。
素材の仕入れ先はイタリアやフランスなど海外にも及び、国内で入手困難な素材も取り扱っている。
さまざまな色、材質を用いて製作される額縁が美術品はもちろん、依頼主の大切なものを一層引き立てる。

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アトリエには、さまざまな色や形の額縁サンプルが並ぶ。「ギャラリーゴロー」は、額縁の修理やオーダーメイドを手がけて20年以上の老舗企業だ。絵画だけでなく、写真、陶器、衣装、模型まで、あらゆる物を額装できる技術力を強みとする。オーナーの溝口さんは、輸入品アートポスターを販売する知人に影響を受け、40代で未知の世界へと踏み出した。職人が製作した額縁を分解し、技術を学んだ経験は貴重だったという。

ある日、優れた仕事ぶりが評価され、「ギャラリーゴロー」は大手企業とも契約を結ぶことになる。受注数が急増し、寝る間も惜しむほど忙しい日々が続いた。しかし、海外の業者の台頭により、業界全体が次第に停滞。厳しい価格競争の中で、個人の依頼主、内装業者、インテリア関連企業の依頼も請けるように。依頼の多くは、他の額縁屋があまり目を向けることのない、修理やオーダーメイドだった。以来、溝口さんは同領域の事業を開墾し続け、「ギャラリーゴロー」は関西の額縁業界をけん引する立場にまで成長を遂げた。

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古い額縁を修理するよりも、新しく製作する方が手間やコストはかからない。それでも溝口さんが修理にこだわるのは、物の思い出を大切にしているからだ。「ギャラリーゴロー」には、古びた額縁に飾られた品物が持ち込まれる。祖父の写真や野球のユニフォーム、板前さんの包丁など…。そこには、人の想いがたしかに宿っている。

仕事は、お客様が語る思い出に耳を傾けることから始まる。その上で修理の方針を決め、完成イメージが具体化すれば修理の工程へ。額縁を分解し、劣化した部分の交換や再塗装を経て、額縁は生まれ変わる。そこに思い出の品を飾れば、この世にひとつしかない作品の完成だ。

「額縁が古くなったり壊れたりして困っているお客様は多いです。その中で、修理後のイメージまで考えて額装するのが私たちの仕事。たとえば、ぐい呑みのような小さい物は際立って見えるようバランスを考えて額装しますね。『大切だからしまい込む』のではなく、『大切な物を日常に溶け込ませる』ことを意識しています」

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お客様から感謝の言葉をいただく機会も多い。たとえば、「船の模型をはめた額縁が輸送中に破損してしまい、弁償しなければならない。どうか元通りきれいに額縁を修理してほしい」という依頼があった。額装を整えて送り返すと、「作品の持ち主が額装をとても気に入ってくれた。本当にありがとう」と連絡があったそうだ。

またある依頼では、高齢の女性から「高齢なので額縁を取りに来てほしい」という修理の依頼を受けたこともある。お宅を訪問すると、彼女は手ずからおにぎりをこしらえてくれたという。「あのときは本当にうれしかったですね。おにぎりを握ってくれる気持ちがありがたいです。『お金じゃなくハート。ウチはそうでないとあかん』と思いました」

事業を通じてさまざまな経験をしてきたという溝口さん。ほかにも、神戸のホテル全室に飾る版画の額装、レストランメニューの額装など、多彩な仕事を手がけてきた。何よりも優先するのは、お客様に喜んでいただくこと。お客様の明るい笑顔や声色のおかげで仕事が楽しい、と嬉しそうに語ってくれた。

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「ギャラリーゴロー」は新たな取り組みを通じて、さらなる笑顔の輪を広げようと試みている。現在は、カリグラフィー作家とのコラボレーション作品やヒノキの香りがする額縁など、さまざまな商品を考案。コロナウイルス対策として、額縁の素材を使用した飛沫防止板も製作するなど、アイデアはとどまることを知らない。また、近年ではニッチ産業としての額縁が注目を集め、日本画、書画をはじめ、茶碗などの立体物を額装する市場が活発化している。額縁産業には、局所的なニーズの高まりが見られるのだ。

その一方で、ものづくりに従事する人口はゆるやかに減少している。需要に対して供給が追いつかないならば、既存メンバーの作業習熟度を高めることが課題だ。そこで、額縁製造が盛んなヨーロッパ製の専用機械を導入。作業を自動化・効率化し、安全性を向上させることで属人化を防ぎ、熟練の職人と同じように額縁を製作できる仕組みを整えた。これにより、同社の1日における生産量は約2倍にアップすることが見込まれている。「足りないなら、工夫して創る」という発想は、今後のものづくりに欠かせないスタンスとなるだろう。

「私が額縁の道を選んだのは、誰よりも何よりも『アートで面白いことがしたい』と思ったからです。自分が面白いと思う仕事を手がければ、それは巡り巡ってお客様を笑顔にできるはず。ビジネスも大事ですが、ウチはアイデア勝負でやっていきたいですね」 溝口さんの存在は、額縁業界のさらなる発展に今後も大きく貢献し続けるに違いない。

有限会社ギャラリーゴロー

大阪府大阪市城東区鴫野西2丁目19番9号川崎ビル
TEL:06-6964-5656
FAX:06-6964-5666

https://www.g-goro.co.jp/

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