interview

肌を隠すことなく、
ありのままを愛せるように

綺羅化粧品 株式会社 代表取締役社長 田中 直樹さん

1982年の入社後、営業職を長年務め5代目代表取締役に就任。幼少期は叔母が経営する美容室で過ごすことが多く、美容業界には親しみがあった。営業職時代は全国の代理店のもとへ足を運び、ユーザーと直接コミュニケーションを行いながら販売業務を行い、肌トラブルや化粧品の知識と経験を培った。

肌トラブルに寄り添い、健康的な美しさをサポートする化粧品。それが綺羅化粧品の特長だ。サメの肝油から採取できる、保湿性に優れた「スクワレン」を使用した化粧品のパイオニアとして、さまざまなスクワラン美容商品をリリースしている。
近年はこれまで培ってきたスキンケアのノウハウを活かし、肌トラブルに悩む男性向け化粧品の開発にも取り組んでいる。

内から美しくなるために。
創業当時から変わらないコンセプト

隠すのではなく、内から美しくなるために必要なことを。綺羅化粧品が掲げるコンセプトは、1969年の創業時から変わらない。
綺羅化粧品が開発する化粧品の原型は、創業当時に作られた美容液にさかのぼる。深海に生息するサメの肝油から採取できる「スクワレン」のみを原料とした世界初の化粧品を開発した。「スクワレン」は人の皮脂の中にも含まれているため、親和性が高く肌のうるおいを守る保湿性に優れていることが特長だ。また「単一原料だけで化粧品を作る」という点も当時の業界では初めての試みだったと、代表取締役の田中直樹さんは話す。
「当時の化粧品は何種類かの原料を混ぜ合わせたものという認識が一般的でした。しかし、添加物によってアレルギーを起こす人々が多数おられ、化粧品公害として問題視されていました。人の肌に寄り添う負担の少ない化粧品をつくりたいという強い思いから、単一原料かつ無香料・無着色にこだわりました」。
今ではスクワレンの使用や無香料・無着色の化粧品は多数のメーカーが生産しているが、その先駆けとなったのが同社の商品だ。以来、「素肌を美しく」は綺羅化粧品が生産する商品のキーワードとなる。
それはスキンケア用品だけでなく、メイク用品にもあらわれている。

一般的なファンデーションはシリコンベースのものが多く、肌にフタをするような形でメイクを行う。だが、それによって肌の代謝が悪くなるデメリットがある。皮膚代謝を阻害しない方法はないだろうか…。綺羅化粧品は研究を重ね、素肌を守るためにフェイスパウダーのみで仕上げる化粧法を導入した。
当初は粉状のため化粧崩れがどうしても発生したが、50年の歳月をかけて改良を重ね、フェイスパウダーにセラミドを包み込んだナノ粒子を配合。化粧崩れを防ぐとともにセラミドによる保湿効果も可能になり、ベースメイクとスキンケアを両立できる綺羅化粧品の主力商品のひとつ「キラ・パーフェクトフェイスパウダーEX」が誕生した。「内から美しくなる」というコンセプトによって生まれた新たなフェイスパウダーは多くの方の共感を呼び起こしている。

綺羅化粧品の製品と
共に人生を歩むユーザーたち

飾るだけでなく、素肌そのものを大切にする。
肌トラブルに悩む人々に寄り添い、誰もが「美しさ」を諦めずに楽しむことができる綺羅化粧品の商品は、10年以上愛用しつづけるファンが多く存在する。通常、化粧品は年齢とともに他の商品に移ることが多いため、同社のようなケースは珍しい。田中さんが出会った中には、70代や80代になった今も30年以上にわたり綺羅化粧品の製品を使い続けているユーザーがいると言う。

50代のお客様が敏感肌に悩んでいた20代のころに当社の製品に出会い、それ以来ずっと愛用しているとお聞かせいただきました。その他にも、長年当社の製品と共に人生を歩んでいらっしゃるお客様が多くいます。そういったお客様のお声を聞く度に、その信頼を裏切らぬよう、さらなる改良に努めたいと身が引き締まります」。

綺羅化粧品のブランド価値の基盤にあるのは「健康」だ。
健康は人生を重ねるにつれてその大切さを自覚するもの。だからこそ一過性ではなく長年愛用しつづけるユーザーも多くいるのではないだろうか。その価値を支えるため、綺羅化粧品の製品は入念な安全検査が行われている。
「当社の基礎化粧品は、すべてアレルギーテスト、ノンコメドジェニックテスト(ニキビ初期段階のコメド発生テスト)を行い、通過したものだけを製品化しています」。
こうしたテストはいくつものランクで構成されており、多額の費用が必要になる。そのため多くのシリーズ商品を展開しているメーカーは、コスト削減を念頭にシリーズ内のすべての製品ではなく、代表的な製品のみをテストする場合が多い。しかし、田中さんはコスト以上にお客様の健康を第一に考えるべきであると話す。
「当社にとって安全性は企業の根幹となる最重要項目です。そのため、コストが高くなったとしても安全性のテストは欠かさず行っており、当社の誇りのひとつでもあります」。

一人ひとりの「顔」と向き合い、
積み重ねた信頼

綺羅化粧品が長年愛され続ける理由は、その販売方法にもある。全国の代理店のもとに足を運び、現地でカウンセリングを行って販売するのが、綺羅化粧品のスタイルだ。ユーザーと信頼関係を築きながら、悩みの声をダイレクトに商品開発に活かすことができる。
田中さんも、社長に就任するまでは全国の代理店のもとへ何度も伺い、ユーザーとのコミュニケーションを重ねてきた。

「月に1520日は代理店さんのもとへ出張し、お客様の肌をマイクロスコープで観察して、トラブルの確認やその対処方法の説明をしながら、商品の販売を行っていました。お客様との距離の近さは綺羅化粧品の特長のひとつ。私もお客様と直接関わる機会を大切にし、足しげく代理店さんのもとへ通っていました。お店に通うお客様全員を私が知っている代理店さんもあり、一人ひとりの“顔”と向き合う毎日でした」。

さらに、お客様から預かった大切な声を反映するため、日々の情報収集や研究に余念がないのも綺羅化粧品だ。研究所と工場スタッフが常に学会や素材・原料の展示会などから最新情報を収集し、商品の改良に取り組んでいる。
「より良い新たな素材や原料を見つけた際は積極的に取り入れて、リニューアルを頻繫に行っています。極端な場合、3年に1度は中身が入れ替わっている商品もあります。時代の進歩に取り残されず、お客様の肌の健康と美しさに最大限貢献できるよう、情報収集には力を入れています。また、『前の商品の方が肌質に合っている』といったお声をお客様から頂戴した場合は、昔のタイプも残すようにしています」。
田中さんも折を見て展示会に足を運び、情報を直接集めている。近年ではその中で出会った「エラスチン」を商品開発に活かし、新たな栄養機能食品「BeエラスチンEX」が作られた。
田中さんの肝いりの商品もあるが、基本的に新たな素材の発見を担うのは研究所と工場スタッフだ。「代表の私が『これだ!』と言ってしまうと、どうしてもその意見にスタッフが引っ張られてしまいます。多角的な視点から商品開発を行うためにも、私は情報収集においてはあまり前に出ずに、研究所と工場のスタッフの考えを尊重するようにしています」。

年齢や性別を問わず、
誰もが健康的に美しくなれる社会に

スタッフの考えや思いを大切にする姿勢は、同社の新たな試みである男性向け化粧品の開発にも生きている。

「開発は研究室と営業部の男性社員が中心となって行っているのですが、その一人は元々美容師をめざしていました。ところがシャンプーによる肌トラブルの悪化が原因で断念せざるを得なかったそうです。その社員が当社のスキンケア用品を使用したのをきっかけに症状が落ち着き、すごく嬉しかったと言い、開発に力を入れてくれています」。
肌のトラブルによって夢を諦めてしまう…自分と同じような経験を誰かにしてほしくない。そんな社員の強い思いもあり、経験がない男性向け化粧品の開発にも挑んでいる。

男性向け化粧品のなかで、特に注力しているのが洗顔料や化粧水などのスキンケア用品だ。当初、メンズ美容の関心の高まりは若い世代が中心であると考え、商品ターゲットをZ世代としていたが、蓋を開けてみると予想は外れた。
「モニター調査を行ったところ、肌トラブルに悩む男性は年齢関係なく多数いらっしゃることが分かりました。また、実際にアトピーや乾燥肌に悩む男性の方から好評のお声を多数いただき、あらためて当社の基本理念を大切にしながら再度戦略を練っています」。
同社の女性向け化粧品が幅広い世代に愛用されているのは、「素肌そのもの健康」という世代を超えたユーザーの悩みに応えてきたからだ。現在は、そのコンセプトを引き継ぎ、年齢に囚われず「肌トラブルに悩む男性」すべてをメインターゲットに開発を行っている。

肌トラブルに思い悩む人々は、年齢や性別に関係なく多く存在する。スキンケアに関する多様なノウハウを培ってきた綺羅化粧品の新たなチャレンジは、きっとそんな人たちにも寄り添う商品を生み出してくれるはずだ。
隠すのではなく、内から美しくなるために必要なことを。
すべての人々が健康的に美しくなれる社会へ、綺羅化粧品のチャレンジはその実現に一歩近づくものになるだろう。

COMPANY

綺羅化粧品株式会社

〒104-0061 東京都中央区銀座8-9-15 JEWEL BOX GINZA 6F
TEL:03-6254-3120(代表)
URL:https://kira.co.jp/

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