食卓の笑顔をつくる
ホットなソースをどうぞ。

マスカラス 株式会社

代表取締役 國府 靖史さん

学生時代のアルバイトをきっかけに飲食の世界へ。京都木屋町のバーを2店舗経験し、独立。2014年に「Comida Latina COSTA(コミーダ ラティーナ コスタ)」をオープンした。以来、着実に常連客を増やし、京都のスパニッシュ&メキシカンバルとして確固たる地位を築く。

オリジナルのホットソース「マスカラス」の辛さは3種類。好みや料理に応じてマッチするものを選べる。日本人の味覚に合わせて開発された辛味には他のソースにないコクと旨味が備わっていることが特徴。取り扱う販売店や飲食店の数が続々と増えている。

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ホットソースといえば…、タバスコ? いえいえマスカラスでしょ。そんな声がじわじわと増えている。辛さの中にある深いコクが日本人の舌にマッチし、一度味わうと他のソースに戻れない。京都発のホットソースがタバスコの牙城を崩そうと挑んでいる。

「名前はメキシコのプロレスラー、ミル・マスカラスからあやかりました」と話すのは開発者の國府さん。京都市中京区のスパニッシュ&メキシカンバル「Comida Latina COSTA(コミーダ ラティーナ コスタ)」のオーナーだ。「プロレスは詳しくないでんですが、その響きが気に入りました。漢字にしたら“増辛酢”。まさにぴったりの名前じゃないですか」。

マスカラスは同店のテーブルソースとして一歩を踏み出した。宣伝や広告は出していなかったが、その名はすぐに店外へ拡散した。京都市内から関西、さらに全国へ。「うまい」「やみつきになる」。客の素直な感想が伝播していった。すると小売店も見過ごしてはいられない。近隣スーパーからはじまり関西圏、ついには首都圏のチェーン店からも販売オファーが入った。

「東京の店舗に並んだときはうれしかったですね。京都に比べ東京はマーケットが大きいので、もっと多くの方に味わっていただける。期待が膨らみます」。

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國府さんは大学時代、京都木屋町のバーでアルバイトをはじめた。年齢や肩書などを超えて誰もが自由になれる空間。人を幸せにする酒と料理。飲食の世界をすぐに気に入った。卒業後も働き続け、店長を任されるまでに。いつか自分の店を持ちたい、自然と夢が膨らんだ。

そのチャンスがやってきたとき、頭に浮かんだのがスパニッシュ&メキシカンだった。
「京都の老舗メキシカンバーでワカモレというアボガドディップを食べたんです。めっちゃ美味しくて、気に入りました。メキシカンなんて珍しいから、よくデートで食べに行っていたんです」。
美味しくてニッチなジャンルは何か。メキシコに思い入れはなかったが、意思決定は案外シンプルなほうが上手くいく。國府さんにはそんな経営感覚が備わっていた。

しかし、いざ決めたら大胆さよりも緻密な研究者モードへと切り替わる。京都や大阪、東京をはじめ全国のメキシコ料理店を食べ歩き、シェフと共にメニューづくりに勤しんだ。
目玉メニューは牛ハラミのステーキに決めた。メキシコでは定番料理だが、日本で食べられる店はほとんどなかった。他所と同じことはしない。その考えを貫いた。
今、牛ハラミのステーキは不動の人気メニューだ。その成功に嫉妬した他店がメニューに取り入れるほどで、料理自体の知名度が上がっている。

オープン以来、國府さんの戦略が見事にはまり、着実にお店は成長していった。
しかし、ただひとつ納得していないものがあった。それがテーブルソースだった。

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國府さんはComida Latina COSTAにふさわしいホットソースを探し求めた。国内外の市販ソースを片っ端から試したが、気に入るものがない。そんな中、あるメキシコ料理店の自家製ソースに惚れ込んだ。卸しの交渉がうまくいき、テーブルにそれが並んだ。
「自分が美味しいと確信したから、お客さんの反応は良かったです。ソースをリピートして購入するお客さんも出てくるほどに…。それにやきもちを焼いちゃったんです」。

飲食を提供するものとして、「おいしい」は自らの手でつくりたい。
そんな思いが國府さんに火をつけた。毎日、営業終わりの深夜にキッチンに籠り、ソース開発に励んだ。料理はシェフに任せている。経験も技術もない。頼れるのは自分の舌だけ。唐辛子とスパイス、酢、それぞれの配合を1グラム単位で変え、何度も何度も試食を繰り返した。化学調味料や保存料は一切使用しない。自らハードルを上げた。
「一度も嫌にならなかったですね。むしろ楽しかった。お店をつくるときよりものめり込みました。すると納得いくものが出来ちゃったんです」。完成まで約1年。情熱というよりも探求への面白さが成果につながった。

「はじめてお客さんに出したとき、全く反応が違いました。お客さんの幸せそうな表情が自信になりましたね。もともと使っていたソースよりも美味しいと、はっきり言えます!」
今ではマスカラスを先に知って店に足を運んでくれる客が増えているという。

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マスカラスは、唐辛子の他にクミンやコリアンダーなどのスパイスが独自のレシピで組み合わされている。それによって生まれるコクと旨味のある辛味は、メキシカンだけでなく幅広いジャンルの料理にも応用できる。他のホットソースにはない特徴だ。その長所を生かし、國府さんの探究心が新たな名品を生み出した。

サルサまぜそば。麺と具材にマスカラスの辛味と旨味が絡まり、抜群にうまい。
夜の時短営業を受け、ランチを開始。そのメニューとしてコロナ禍の経営危機を救い、今では名物メニューになっている。

國府さんは、サルサまぜそばの先にラーメン店のオープンを見据えている。
「マスカラスを生かした異なるジャンルの料理を提供すれば、マスカラスのアンテナショップのような役割になると思っています。新たな市場を開拓することで、もっと多くの方にマスカラスの美味しさを知ってほしい」。
さらにSNSを活用し、マスカラスを使ったオリジナルレシピなども発信していく構えだ。

「夢は世界に羽ばたくソース。第二のタバスコと言われるぐらいのホットソースをめざしていきたいです。醤油や味噌などの調味料に比べると、ホットソースは日本の家庭にあまり浸透していません。でもマスカラスなら家庭料理にもよく合う。マスカラスで日本の食卓をもっと豊かにしたい。マスカラスが食卓の笑顔をつくっていきますよ」。

マスカラス 株式会社

Comida Latina COSTA(コミーダ ラティーナ コスタ)

〒604-8166 京都府京都市中京区御倉町66-3 NPビル 2F
TEL:050-5595-9692
URLhttps://costa-kyoto.jp/

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