interview

約半世紀の実践を通して
たどり着いた、おもてなし。

株式会社 花丘センター 徳島 正さん

会社員などを経て、花丘センターを開業。当初は宴会場のみだったが、宿泊のニーズが増え、団体客やビジネス客向けのリーズナブルな宿として成長していった。バブル期には飲食業などにも事業を拡大するが、失敗を多く経験。コロナ禍を経た今は、原点に戻り宿泊業に力を注いでいる。

ビジネス客はもちろん、中学校から大学までの部活動やサークルの合宿拠点として人気のお宿。アットホームな雰囲気が魅力で、オーナーの徳島さんは馴染みの宿泊客にとって家族や友人のような存在。近年には屋外バーベキュー施設「星影の郷」をオープン。宿泊とバーベキューのセットプランが合宿利用者から喜ばれている。

京丹波の小さな湖畔。その景色に見惚れて、
約半世紀つづけてきたお宿

「おいしいごはんをありがとう」「親切にしてくださってありがとう」。玄関には寄せ書き色紙が並び、合宿にやってきた中学生・高校生たちのコメントで埋め尽くされている。トレーニングを頑張ったあとに「おかえり」と迎えてくれるオーナーの柔和な笑顔。待ち遠しい食事。疲れを癒してくれる水辺の景色。ここで過ごした青春のひと時は心に深く刻まれ、何年経ってもふと思い出されるのかもしれない。

 

京都南部と宮津・天橋立を結ぶ京都縦貫道の中間にある「丹波インター」を降りて数分。宿泊施設「花丘センター」は森林の入口の小さな湖畔に佇む。近くには国内有数のスポーツ施設を完備する京都府立丹波運動自然公園があり、中学・高校生から大学生、社会人までの競技者にとって欠かせない合宿施設になっている。さらに出張や旅行の中継地としてビジネスや観光、ツーリングを目的とした利用者も多い。

 

「初夏にはホタルが飛び交い、窓から幻想的な夜景が望めます。それは、とても美しいですよ。初めて訪れたときに一目ぼれして、迷わずここを購入しました」。昭和48年、34歳だった徳島さんの運命を変えた景色は今も変わらない。しかし、宿泊施設の役割は時代とともに大きく変遷してきた。その流れに翻弄されながらも「宿泊サービスとは何か」を考え続けてきた徳島さんの答えの積み重ねが「花丘センター」を形づくってきた。

時代の流れとともに変遷していく
宿泊サービスのかたち

昭和の後半、「花丘センター」には大阪や京都から団体客がひっきりなしに訪れ、1日4、5組の宴会が開かれていた。会社や地域の慰労会を目的にした利用が大半。おもてなしといえば豪華な食事、お酒の席での接待、カラオケなどの余興などが当たり前。それが当時の宿泊サービス業の答えだった。「何もしなくても団体客が訪れ、誰もが簡単にお金を使ってくれました」。高度経済成長期からバブルへ、当時の世相が徳島さんの経営感覚を麻痺させていく。レストランやクラブの経営に乗り出したり、コンサルタントの甘い言葉に乗っかって投資をしたり…、めざすべき宿泊サービスがどんどんぼやけていった。「周りの経営者すべてが放漫経営者でしたし、私もそのひとりでした」。

 

平成に入ってすぐ、バブルは弾けた。世の中の風向きは変わりはじめていたが、「花丘センター」には合宿客のニーズが増え、危機感がなかった。幸か不幸か、それがバブルの感覚を引きずることになってしまう。

ただ、客層は確実に変わりつつあり、合宿に励む若者たちの姿は「花丘センター」の新しい景色をつくっていた。「合宿の活力になれるような料理を」と肉料理を追究したり、「非日常の空間で仲間との絆をいっそう強めてほしい」とバーベキューを提供したり、これまでになかった宿泊サービス業の答えが芽生えていったのも確かだった。時代は、平成から令和へ。何かを掴めそうになっていたころ、新型コロナウイルス感染症対策として「自粛」「休業」が叫ばれ始めていた。

大切なことを
コロナ禍がわからせてくれた

合宿の予約はすべてキャンセル。ピンチは重なり、身体を壊し2か月間の入院。まさに最大の危機だったが、ビジネス客の利用が一定数あり、なんとか営業を続けることができた。

 

「ガラっと変わりました」。宿泊業のあり方が根底から崩れていく状況に、徳島さんの考え方も大きく変化していったという。

「コロナによって、多くのことに気づかされました。これまで深く考えず、思いつきで行ってきた事業は、コロナを経て手放しました。今残っているのは「花丘センター」だけです。自分は頭が良くないし、身体も悪い、できないことが多いからこそ、本当に提供したいことを見極め、そこに効率よく力を発揮できるようにしないと生き残れない。コロナで何もできない状態になったことが、それをわからせてくれました」。

 

今、「花丘センター」ではコロナ対策を徹底しながら、宿泊と野外バーベキュー、あるいは宿泊とすき焼きなどをセットにしたプランを中心にサービスを展開している。「宿泊サービスとは何か」という問いに、徳島さんがコロナを経て出した答えがそのプランに反映されている。

ようやく見つけた
宿泊サービスの答え

美しい水辺の景色、美味しい料理、仲間との非日常の体験。徳島さんが提供したいと見極めたものはシンプルだ。ただ、自分にできないことが多い中でも、その魅力を最大限に高めて提供できなければ意味がないと考える。

手の込んだことはできない。でも「ここでしか味わえない食事を提供したい」と考え、調理工程が少なくても食材を存分に楽しめる料理に絞った。そして、コロナ禍でも食事とともに仲間との交流を楽しめるように屋外バーベキュー場「星影の郷」を開設し、雨天でも利用できる屋根も設置した。また、大学生や社会人にはお酒の持ち込みを許可するなど、セルフサービスを増やすことで、お客様自らが非日常を気兼ねなく楽しめるように配慮した。

 

コロナが収束しつつある今(20225月)、合宿の予約が戻ってきている。大きな団体客の予約も入り、気合が入っているという。

「今のほうが、評判がいいんです。食事を片づけにいくと、どの皿も鍋もすっからかんになっていて、全部召し上げってくださっているのが嬉しい。喜んでくださっているのが実感できるんです」。

徳島さんの年齢は80歳を超えた。宿泊サービスに対する自分なりの答えを見つけるまでに年齢を重ねたが、これからが新たなスタート。「あと5年は、がんばりますよ」という言葉に力が入っていた。

CAMPANY

湖畔の宿 花丘センター

〒622-0214
京都府船井郡京丹波町蒲生野口50-1
TEL:0771-82-0171
FAX:0771-89-1167

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