おふたりの記念日が
世界一輝くためのお手伝い。

いのうえ 株式会社

代表取締役会長 井上 芳昌さん

父が創業した寝具貸衣裳店を受け継ぎ、1986年から社長を務める。2023年に会長就任。和装の結婚式が常識の時代にいち早くウエディングドレスのレンタル・販売を開始し、神戸で最大級のウエディングドレスショップへと成長させた。トレードマークの蝶ネクタイがおしゃれで、気さくな人柄が魅力。スマホの待ち受け画面は、新婚旅行中に撮影した奥様との2ショット。ウエディングメモリアルをずっと大切にされているのがとても素敵だ。

「世界一の幸せ創造カンパニー」を理念に掲げ、最愛のドレスとの出会いをプロデュースし、花嫁と結婚式に携わるすべての人々の“Make Happiness”を実現する。現在は神戸元町本店に加え、大阪梅田店や婚礼和装専門店「Zen京都」を展開。東京への進出も計画中だ。井上会長は今後ニューヨークへの出店もめざしており、国や地域を越えて多くの人の幸せ創造をお手伝いしたいと話す。

Section 1

時代とともに様変わりするウエディング。結婚という幸せは同じでも、そのかたちは移り変わり続けているため、ブライダル業界での舵取りは難しい。そんな中、いのうえ株式会社は50年以上、ウエディングドレスの衣装レンタル・販売業において先頭を走り続けている。同社が運営するウエディングサロンイノウエは、神戸で最も知名度があるドレスショップ。和装からドレスへ、式場ウエディングから多様なウエディングへ。常にトレンドの先を行き、新たな幸せのかたちを提案してきた。

その原点は、井上さんの父が営んでいた寝具販売店。「同じ綿製品だから結婚式用衣装も扱ってほしい」というお客からの声があり、貸衣装業をスタートさせた。当時、貸衣裳店は珍しくなく、近隣にも4、5件もあった。井上さんは家業を手伝いはじめた頃、「他店と同じようにやっていてもライバルに勝てない」と感じていたという。

そんな折に「ドレスを貸し出してはどうか」とアイデアを出してくれたのが井上さんの奥様だった。「当時は和装が中心。洋装の結婚式なんてごく僅かしか行われていない時代。私も慣例のままでいいと考えていたのですが、私の家内はセンスのある人で、自分たちの結婚式でドレスを着用しました」。
井上さんはその美しさに一瞬で心を奪われ、「世界一の花嫁だ」と思った。今でも眼に焼き付いている奥様の姿に未来の結婚式の装いを予見し、その提案にうなずいたという。
「ドレスって、着る人も、見る人も、本当に幸せな気持ちにしてくれんです」。
でも、当時は誰もそのことに気づいていなかった。ならば自分たちがドレスを扱い、新たな幸せをつくろうと、時代の一歩先に踏み込んだ。

Section 2

井上さんがドレスの魅力を伝えはじめて10年。結婚式の主流は和装から洋装へ変わっていった。当初は和装文化が根強く残り苦労が多かったが、ドレスを着た花嫁さんの幸せそうな姿を見るたびに手ごたえを感じ、嬉しかったという。しかし、ドレスが定着するにつれ同業者が増え、競争が激化した。また、高度経済成長とともにブライダル産業が発展し、ホテルや専門式場による結婚式の大型化・豪華化が進み、それに合う華やかなドレスが求められ、資金力のある大手チェーン店が台頭していた。
「私たちは小さな店舗でした。大手と同じことをしても敵うはずがありません。世の中の変化よりもさらに先をめざす必要を感じました」。
当時の“幸せのかたち”にも疑問感を感じはじめていた。新郎新婦ではなくホテルや式場が主導し、見た目の豪華さや派手さを競うような式でいいのだろうか。ウエディングのあり方を問い直すべきなのでは…

井上さんは海外の雑誌を何冊も読み、ウエディングを研究した。そこで見つけたのがレストランウエディングだった。身の丈にあった規模でゲストをおもてなしする丁寧な結婚式づくり。答えが見つかれば、行動は早い。レストランウエディングのマニュアル本を自ら作り、神戸北野のレストランなどに足繁く通って提案を行った。披露宴ではなく「ウエディングパーティ」と名前を改め、大型式場との違いを印象付けた。そして、レストランには専用のドレスが欠かせない。デザイン性の高い新たなドレスの企画・製造に力を入れ、自社の事業につなげた。

レストランウエディングは今も根強い人気を誇る。その先駆者のひとりが、井上さんだ。ドレスの専門家だが、大切にしているのは「装いをつくるではなく、幸せをつくること」。そんな考えが新たなウエディングのスタイルを日本に根付かせた。

Section 3

レストランウエディングが順調に浸透し始めた頃、阪神淡路大震災が襲った。神戸市長田区にあった店舗は倒壊。会社は一瞬で窮地に陥った。しかし、井上さんは危機の中にあるチャンスを冷静に見抜き行動した。以前から気になっていた神戸元町のビルが借り出されることを知り、移転を即決。神戸の中心地に移ることでマーケットの拡大を狙った。また、震災前年にヨーロッパで買い付けたドレスが届き、店舗ディスプレイの刷新も決めた。「当時、国産のドレスはワンピースみたいで、畳んで置いておくことに誰も違和感を覚えていなかったんです。でも、本場ヨーロッパで仕立てられたオートクチュールのドレスを見たとき、それが馬鹿げたことだと恥じました。ハンガーに掛け立体的にディスプレイするからこそ、その美しさが輝く」。今では当たり前のように見る「ドレスショップ」の風景だが、それを先がけて生んだのは震災による転機と井上さんの反省だった。

「悪いことや失敗が起こるのは仕方がない。でも悪いことばかりに目を向けるのではなく、そこに隠れているプラスの要素を見つけ、自分たちのほうに手繰り寄せることが大事です。私たちは震災時の決断によって、神戸での圧倒的な一番になることができたと思います」。

それはコロナ禍でも同じった。2021年、従来にないコンセプトのドレスショップ「HARE mo KE(ハレもケ)」を神戸元町にオープンさせた。
近年、ウエディングが多様化し、結婚式を挙げないカップルも増えている。そんな二人にとって幸せを表現するハレの日はどこにあるのだろう。それはケ(日常)のなかにあってもいいのではないか。日常の空間をウディディングのひとつの舞台と捉えたり、日々の暮らしの中にある心躍るときめきをハレとして演出したり、そんな「ハレもケ」という考え方を提案する場をつくった。
「ドレスショップのあり方を大胆に変えようとチャレンジしました」と井上さん。
コロナやSDGs、情報化などによって社会の価値観が大きく変わろうとするなかで、次代の「幸せのかたち」は何か。それを真っ先に示したかったと話す。

Section 4

高さ300m、大パノラマを望む明石海峡大橋の塔頂。ふだん足を踏み入れることができない場所で神戸の夜景を楽しむカップル。ふと、彼から小さなケースが手渡される。そっと開けると、指輪が輝き、「結婚しよう」という彼の言葉が響いた。

まるで映画のワンシーンのようなプロポーズ。今、いのうえ株式会社ではこうしたプロポーズの企画・支援も手掛け、若いカップルの人気を集めている。次のチャレンジは、新ショップのオープンだけではない。プロポーズから婚約、ウエディング、結婚記念日までを対象に、カップルの大切な節目を総合的に企画・支援する「記念日コンシュルジュ事業」もスタートさせた。また、本社にフォトスタジオを開設し、カップルのメモリアルを写真や映像として残すための環境も整えた。スタジオ内にはプリンセスが乗るような馬車も登場し、話題を呼んでいる。これからは衣装販売やレンタルだけでなく、さまざまなサービスでお二人の記念日を丁寧にお手伝いしていく。

「結婚式へのニーズが減少していますが、プロボーズを重視するカップルが増えています。そうした中でウエディングだけに焦点を当てていては、お二人がのぞむ幸せを形づくることは難しいのではないかと考えています」。
これまでも業界の常識を飛び越えてきた井上さん。その次の一手は、ウエディングという枠組みさえも超えていく。もちろんドレス市場縮小への危機感もある。でも、根底にあるのは「幸せになってくださるためのお手伝いを今までに以上にしたいという思いなんです」と話す井上さん。50年以上、幸せづくりをお手伝いしてきた。ドレスを着る、おいしいものを食べる、一緒に写真を撮るなど、演出の仕方をひとつ変えるだけで、幸せはもっと彩り豊かになっていくことを何度も経験してきた。それを次の世代へも届けていきたい。井上さんは常に未来の幸せに目を向けている。

いのうえ 株式会社
〒653-0835 神戸市長田区細田町1-4-1
TEL:078-392-2030
URL:https://ws-i.jp/

神戸元町本店
 〒650-0022 神戸市中央区元町通1-8-4
 TEL:078-392-2030
大阪梅田本店
 〒530-0001 大阪市北区梅田1-8-17大阪第一生命ビル 2F
 TEL:06-6344-8887
Zen京都
 〒600-8427 京都市下京区松原通室町東入玉津島町301
 TEL:075-354-0003

プロポーズ神戸:https://proposekobe.jp/
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